こんにちは、パーソナルトレーナーのまーしーです。
2019年からプラントベースの食事を続けています。
パーソナルトレーナーがよく聞かれる質問といえば、こちら。
「どんな運動がおすすめですか?」
「どれくらい運動すればいいですか?」
どんな人にも運動は大切ですが、プラントベース/ヴィーガンの食事をしている人にまずおすすめする運動はウォーキングです。
はじめは1日30分、週5日を目標にしましょう。
トレーナーなのに筋トレをおすすめしないの?
ウォーキングにもメリットがいっぱいあるよ
パーソナルトレーナーの僕が、ウォーキングをおすすめする理由について解説していきます。
ウォーキングはいますぐできる
ウォーキングの圧倒的なメリットは、いますぐできるということ。
ジムに通うとなると入会手続きが必要です。ストレッチやヨガはやり方を覚える必要があります。ジョギング程度でも、ランニングシューズはあったほうがいいでしょう。
ウォーキングなら何も道具がいりません。手間もお金もかけず、今日からでもできます。
スケジュール調整がラク
「今日はやる気がないから帰り道だけ30分」
「遠くのスーパーまで歩けば往復で50分」
今日はどのくらい運動できるかな?とスケジュールを調整しやすいのもメリットです。
運動が続けられない理由として、「時間がない」と話す方は非常に多いです。ウォーキングならマシンが空くのを待ったり、ヨガマットを準備したりなど余計な時間がかかりません。
用事を済ませるついでに歩けば、それだけで運動できます。
骨の健康にいい
ウォーキングは歩くたびに骨へ衝撃がかかるため、健康な骨を維持するために有効です。
ベジタリアン/ヴィーガンは雑食者に比べて骨密度が低くなるという研究は多いので(後半でまとめます)、ウォーキングなどの運動で骨の健康を保とうとすることはとても大切といえるでしょう。
骨粗鬆症を予防するためには、カルシウムの摂取とビタミンDを体内で合成するために必要な日光浴に加えて、ウォーキングや筋力トレーニングなど、骨に刺激が加わる運動が推奨されます
骨粗鬆症予防のための運動 -骨に刺激が加わる運動を 厚生労働省e-ヘルスネット
骨粗鬆症といえば女性に多い症状ですが、ベジタリアン/ヴィーガンも女性が多いです。注意したほうがいいですね。
昼間に歩けるともっといい
もし可能なら、日光がある時間にウォーキングができるとさらに効率的です。太陽の光を浴びることでビタミンD(骨を強くするビタミン)を体内でつくることができます。
ちなみにこのビタミンD、日本人は食事からの摂取量がやや足りていません。
さらに言うとこのデータは、ビタミンDを魚介類や卵から摂取している場合のもの。動物性の食材を食べないプラントベース/ヴィーガンの食事ではもっと不足しているかもしれません。
ですが、この問題も日光を浴びながらウォーキングすれば解決です。
きのこ類を食べることでも摂取できますが、毎日いっぱい食べるのは難しいし、運動しながらの日光浴で自分の身体に作ってもらいましょう。
気になる日光浴の時間については、夏は木陰で30分・冬は手や顔を出して1時間がめやすです。
1日30分だと冬は足りないかも
寒いと出かけたくなくなりますけど、冬こそがんばって外に出て歩くのがよさそうです。マスクとかマフラーをつけたら、もっと日光に当たる部分が少なくなっちゃいますし。
ということで、まずは1日30分歩きましょう。30分が余裕になったらもう少し長く。
ほかの運動を考えるのはそれからでも遅くありません。
どのくらい歩くと健康にいい?
ウォーキングの重要性がわかったところで、次はどのくらいの時間が効果的なのかをみていきましょう。
冒頭にも書きましたが、1日30分・週5日はクリアしたいところです。
週150分が最低ライン
ここではWHOの運動ガイドラインをチェックしてみます。
成人の場合、有酸素性の身体活動を少なくとも週に150~300分、または高強度の有酸素性の身体活動を少なくとも75〜100分を行うか、または週全体で中強度の活動と高強度の活動の組み合わせによる同等の量を行うと、実質的な健康上の利益が得られる。
WHO運動ガイドラインより抜粋
150分って長くない…?
思ったより長いよね
上で書いた1日30分、週5日をクリアしてようやく150分。150分=2時間半、これがスタートラインです。
これに加えて週2回の筋トレでさらにメリットを得られます。ですが、まず優先は活動時間を増やすこと。
掃除などの体を動かす家事や階段なども含まれるので、ウォーキング以外でもとにかく動く時間を増やせるように心がけましょう。
ちなみに2016年時点で、運動量が足りていない人は4人に1人。いまはもっと増えてるはず…。
小分けにしてもいい
まとめて30分の時間を用意するのが難しい日もあると思います。
そんな日は小分けにしてみましょう。朝に15分、夜に15分でもOKです。
少し前までは10分以上運動しないと効果がないと言われてきましたが、いまはどんなに短い時間であろうと、運動を積み重ねたほうが良いことがわかっています。
スキマ時間は歩く。階段を見つけたら登る。効率よく運動時間を稼ぎましょう。早いうちから投資しておくのが身のためです。
ベジタリアン/ヴィーガンは骨折しやすい?
ウォーキングのメリットとして骨の健康をピックアップしたことには理由があります。
ベジタリアン/ヴィーガンの食事はほとんどの面で健康的ですが、骨に関してはいくつか気になる点があります。
・骨密度が低くなりやすいかも
・骨折のリスクがやや高い、特に股関節
・特定の栄養素が不足しがち(カルシウム・ビタミンD・ビタミンB12・たんぱく質・オメガ3脂肪酸など)
ヴィーガンと骨密度
ここからは論文をみていきます。
ぜひ原文も読んでみてね
ベジタリアン、特にヴィーガンの食事は骨密度の低下が示唆されています。
ですが焦らないでください。骨密度の低下=すぐに危険、ではないということです。
結論: この結果は、菜食、特にビーガン食が BMD(骨密度) の低下と関連していることを示唆していますが、関連の大きさは臨床的に重要ではありません。
菜食が骨密度に及ぼす影響-ベイズメタ分析
とはいえ、骨の健康については何かしら手を打っておいたほうがよさそうですね。
アジア人より白人、男性より女性
意外だったのが、アジア人よりも白人でこの傾向がみられたこと。
男性よりも女性の骨がもろくなりやすいのはイメージしやすいですけどね。
ラクトベジタリアンは安心してOK?
この分析において、骨密度の低下が認められたのはヴィーガン食のみであり、ラクトベジタリアンの骨密度には低下傾向がみられませんでした。
ただ、カルシウムを摂ることと骨密度が上がることの関連性はあまり高くないようです。カルシウムが不足しないように気をつけつつ、ほかの対策も必要そう。
たんぱく質と骨の関係性もまだ微妙
動物性たんぱく質が多いことで、骨への酸負荷がかかる…
たんぱく質をたくさん食べると、骨折リスクが低くなる…
など聞いたことがあるかもしれませんが、完全にはっきりとはしていないようです。
カルシウム、たんぱく質とそれぞれの栄養素は気にしつつも、全体的な食事や運動のバランスも気にしたほうがよさそうですね。
ヴィーガンと骨折リスク
ベジタリアン/ヴィーガンはほとんどの部位において骨折のリスクが高いという結果が出ています。
特に股関節骨折のリスクが高いのは怖いですね。股関節骨折で入院したことをきっかけに、一気に認知症が進むことは少なくありません。
肉を食べない人、特にビーガンは、完全骨折または部位特異的骨折、特に股関節骨折のリスクが高かった
ベジタリアンおよびビーガンの食事と、完全骨折および部位特異的骨折のリスク
BMIを考慮しても…
記事の前半でも書きましたが、健康な骨を保つためには骨に衝撃をかけることが大切です。同じ人でも、体重が重いときのほうが骨には衝撃がかかりますよね。
そこでこの論文では、BMI(肥満度をあらわす指数)を考慮に入れて調整した結果も出しています。
しかし体重差を考慮してもヴィーガンの骨折リスクは高いようです。
ただ関連は弱まるようなので、痩せすぎには注意したほうがいいことがわかります。
カルシウムとたんぱく質をたくさん摂っても…
BMIの考慮と同じように、カルシウムやたんぱく質をたくさん食べていてもヴィーガンの骨折リスクは高いまま。
ですがこれも関連が弱まる効果はあるようなので、カルシウムとたんぱく質が不足しないような食事を心がけましょう。
ベジタリアン/ヴィーガンの握力と筋肉量は少ない傾向
筋力が低かったり、筋肉量が少ないことで転倒リスクが高まります。
若いうちは信じられないかもしれませんが、転ぶのってけっこう骨折リスクが高いんですよね…ましてや骨密度が下がっているようならなおさらです。
やっぱり筋トレも重要ですね。ウォーキングが習慣化できたら、その次は筋トレを!
骨折リスクへの3つの対策
ご覧の通り、残念ながら骨の健康に関してプラントベース/ヴィーガンはすこし不利です。なのでしっかりと対策しましょう。
具体的には以下の3つがポイントです。
痩せすぎないようにしよう
女性は特に注意!ヴィーガンに限りませんが、日本人の女性は痩せすぎているケースが多くみられます。
さらに最近はかくれ肥満(BMIはふつうでも体脂肪率が高い)も増えている印象です。
体重や見た目が気になるのはわかります。でも体調を崩して出かけられなくなったら、どれほど美しくても見せる場面がありません。
以下のサイトでBMIはすぐ計算できます。痩せすぎていないか(18.5以下)はかならずチェックするようにしてください。
外に出て運動する
ここまで読んでくださった方には、もう運動の重要性は伝わっているはず。
外に出る&ウォーキングはマスト!
体力がついてきたら、ぜひ筋トレもはじめてください。
栄養に気を遣う
ビタミンB12のサプリメントはかならず摂るようにしましょう。
たんぱく質とカルシウムの量は感覚でわかるようになるのを目指しつつ、週に1回くらいチェックしておくと安心。
食事に含まれる栄養成分はさまざまなサイトで調べられますが、以下のサイトが見やすくておすすめです。
ヴィーガン/ベジタリアンはウォーキングが大事
・やりやすさ&続けやすさでウォーキングは最強
・最低でも1日30分、週5日
・ヴィーガンがリスクの高い骨折の予防に役立つ
健康のためには運動が果たす役割もとても大きいです。
健康を保ち体力を高めることで、動物や環境のために行う活動の量をもっと増やせるはず。
食事と同じように気を遣っていきましょう。
ウォーキングを続けて体力がついてきたら、筋トレやピラティスを組み合わせることでさらにボディラインが整います!
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参考文献
Ho-Pham LT, Nguyen ND, Nguyen TV. Effect of vegetarian diets on bone mineral density: a Bayesian meta-analysis. Am J Clin Nutr. 2009 Oct;90(4):943-50. doi: 10.3945/ajcn.2009.27521. Epub 2009 Jul 1. PMID: 19571226.
Tong TYN, Appleby PN, Armstrong MEG, Fensom GK, Knuppel A, Papier K, Perez-Cornago A, Travis RC, Key TJ. Vegetarian and vegan diets and risks of total and site-specific fractures: results from the prospective EPIC-Oxford study. BMC Med. 2020 Nov 23;18(1):353. doi: 10.1186/s12916-020-01815-3. PMID: 33222682; PMCID: PMC7682057.
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