他人の生活や悩みを知る楽しさ

好きな本だった。ツボにハマった、といったほうがより正確かもしれない。自分はこういうのが読みたかったんだなあと気付かされた。
noteで連載されている日記をまとめなおした本ということなので、生活のようすがいろいろと記されている。ありふれたことも、珍しいことも、悩んでいることも、楽しいことも苦しいこともいろいろと。
他愛ない日常の記録といえばそれまでなのに、読んでいるだけでさびしさが薄れていく。親近感を感じるというか、自分はひとりじゃない感じがして、なんかいい。友達と雑談をしている時間の尊さに似ているのかな。
ばーっと読むこともできるし、途中で止めても嫌な感じがしない。自分は読書の止めどきがわからないというか、中断すると先が気になってモヤモヤした気持ちを引きずったりするので、こういう形式だと読みやすいのもうれしかった。
好きなところ
「店がいっぱいで入れない」という状態が嫌いだ。並ぶのは別にいいのだけど、入店そのものを拒否されると、本来の適切な「傷つき」より3%くらい多く傷ついてしまう。
〜中略〜
会計のときにもらったスースーする飴を舐めながら、最初の店で入店を断られてよかったなと思った。ここはいい店だぞと予測して入るより、何も期待していないときに見つけた店がよかったときは30%うれしい。さしひき27%うれしい日だった。
あとは自販機の話とか脱毛の話とかヘラクレスの話とかもよかった。どのエピソードが好きか、で盛り上がれる人とは仲良くなれそう。
親近感、大事
いまやっているパーソナルトレーナー・整体師としての仕事でも、似たような部分でやりがいを感じているのかもしれないと思った。
トレーニング指導やストレッチ、体をほぐすことなどがメインの仕事ではあるけど、運動や体のケアを習慣にしてもらうためには、ある程度生活の話を聞かないと具体的な提案ができない。だからこそお客さんと話すことを大事にしてきたが、それは想定していた以上に大切な要素だったと気がついた。
自分がこの本から感じたような親近感は、人と人との対面仕事では大事だ。ましてやサービス業だし、パーソナルトレーナーなんて週に1回ペースで会う人間なので、そこが欠けているような人とは毎週毎週会いたくないだろう。どんなに知識があっても。
自分はかけだしのころから、愚痴や雑談など、話目当てに通ってくれるお客さんが一定数つく。それはそれで役割を果たしていると考えてきた。人類がみんな運動を好きになれるわけではない。だけど人類にとって運動は大事だ。運動自体が嫌いでやりたくないけど、自分と会ってしゃべりながらならできるというなら、それでいい。
もちろん体の専門家として、知識や経験は蓄えていくつもりだ。でもそれを活用するためには人として信頼されないといけない。当たり前のことかもしれないけど、ちゃんと実感を伴って再確認できた。読んでよかったな。しかもかなりおもしろかったしね。

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