玄米のヒ素って危ないって聞いたけど、本当?
どのくらい食べると危ないのか知りたい…
このようなお悩みにお応えします。
この記事でわかること
・玄米に含まれるヒ素の危険性
・玄米はどのくらいまで食べても大丈夫か
・日本人で行われた研究の結果
この記事では玄米に含まれるヒ素の危険性について解説しました。
玄米にはヒ素という発がんリスクのある物質が含まれていることはご存知ですか?
海外では玄米や米製品の食べすぎを注意している国もあります。
そこで日本のお米のデータを調べ、WHOや国際的な食品ガイドラインを参考に計算してみました。
これからもお米を安心しておいしく食べられるように、知識をつけておきましょう!
玄米に含まれるヒ素とは
国際がん研究機関によって、ヒ素は発がん性が認められる物質として扱われています。
なんと、タバコ・アルコール・アスベストなどと同じ、発がんリスクがもっとも高いグループ!
毒性がかなり強い
聞きなじみのない物質ですが、人間にとってかなり有害であることは間違いありません。
日本でも過去にはヒ素による公害が問題になっていますし、現代でも飲み水の衛生状態が悪い国など、慢性ヒ素中毒が問題になっている地域があるようです。
心臓や血管、糖尿病にも影響?
たとえ少ない量であっても、ヒ素の摂取は心臓や血管の障害・糖尿病につながるかもしれない、という研究が進んでいる最中。
まだはっきりとした結論は出ていないようです。
おそらく、心血管疾患、呼吸器疾患、糖尿病の原因にもなり、神経発達にも影響を及ぼします。1
飲料水中の低レベル (<50 μg/L) では、癌、心血管疾患、糖尿病の発症におけるヒ素の役割を、いくつかの、しかし一貫性のない証拠で裏付けています。1
確かな結論に達するには追加の証拠が必要です。
米やその他の食品に含まれるヒ素に対する公衆衛生上の対応
少量なら安全?
発がん性がある、と聞くと避けたくなりますよね。しかし、少量であれば悪影響はないとされています。
農林水産省のホームページにも以下のように記載がありました。
ヒ素は、地球上に広く存在する元素です。自然環境中にあるヒ素を完全に避けることは難しく、飲料水や農畜水産物に移行するため、様々な食品には微量のヒ素が含まれています。
出典:食品中のヒ素に関するQ&A-農林水産省ホームページ
日本人は玄米のほかにも、魚介類やひじきなどの海藻類からとっているようです。
ひじきはヒ素たっぷり
和食で幅広く使われるひじきは、ヒ素をたっぷり含んでいる食べもの。
そのためイギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドではひじきの輸入・販売・摂取が禁止されています。
日本では馴染み深いひじきがこんな扱いを受けていることにびっくりですが、それだけヒ素はリスクの高い物質だと考えられているのでしょう。
ひじきのヒ素は玄米の100倍
玄米は1日にどのくらい食べてOK?
ヒ素は少量なら悪影響はないとのことでしたが、どのくらいの量まで安心なのでしょうか?
食べものに含まれるヒ素の量は育った地域・環境によって異なります。具体的な数値を正確に把握することは不可能でしょう。
いっぽう飲み水については、衛生状況のガイドラインとして具体的な数値が設定されています。
ここでは飲み水のガイドラインを参照し、玄米と比較して計算してみました。
飲み水のヒ素は0.01mg/L
WHOのガイドラインでは、飲み水に含まれるヒ素の量は0.01mg/L以下と暫定的に決められています。
飲み水は少なくとも毎日1Lくらいは飲むと考えられますので、それだけ飲んでも安全な数値に決めているはずです。
水を1L飲むことで、0.01mgのヒ素を摂取することになりますね。
見たままの数字だね
玄米のヒ素は0.35mg/kg
国際食品規格委員会によって、玄米に含まれるヒ素は0.35mg/kgまで、と最大基準値が決められています。
玄米は1日に1kgも食べないですから、1合よりも少し少ない100gを食べる場合で考えてみましょう。
玄米は炊くとおよそ2倍になるので、炊き上がりは200g。コンビニのおにぎり2個ぶんです。
玄米を100g食べると、0.035mgのヒ素を摂取することになりますね。
すでに水より多いよね
おにぎり2個でリスクがあるかも
上で計算した通り、玄米はおにぎり2個分食べるだけで水よりもヒ素のリスクが高くなります。
意外と食べても大丈夫だな〜と思うか、これくらいしか食べられないんだ、と思うか。
僕はぜんぜん食べられないじゃん!と思う派
お茶碗ふつう盛りの一杯で、少なくとも100gは超えます。
昼と夜にお茶碗一杯の玄米を食べるだけで、リスクを抱えることになります。
平成29年〜令和元年までの国産米に含まれるヒ素のデータも公表されていますが、平均値は0.16mg/kg。
日本のお米でも水よりヒ素の量が高いですね。
とはいえ水を飲んでいる人が全員がんになるわけではないですから、焦って心配するほどではないでしょう。
しかし、玄米を毎日食べても安心か?についてはもう少し考えておいたほうがよさそうです。
玄米は毎日食べないほうがよさそう
続いて、1週間にどれくらい玄米を食べても大丈夫なのか計算してみました。
1998年にWHOはヒ素を1週間にどれくらい摂ってもリスクがなさそうか、暫定的な数値を定めています。
15μg体重/kg体重/週
ざっくり5kg刻みですが、体重別に計算してみました。
体重 | 耐容量(週) | 玄米で換算 (0.16mg/kg) |
---|---|---|
50kg | 750μg(=0.75mg) | 約500g=おにぎり10個 |
55kg | 825μg(=0.825mg) | 約520g=おにぎり10個と1/5 |
60kg | 900μg(=0.9mg) | 約570g=おにぎり11個と1/5 |
65kg | 975μg(=0.975mg) | 約600g=おにぎり12個 |
50kgの人だと、1週間で玄米おにぎり10個分。
1日2回玄米を食べる生活を週7日、ではあっさりオーバーしますね。
日本食といったらお米。ほとんどの人が毎日1~2回は食べるでしょうから、玄米をよく食べる人はオーバーしている可能性が高そうです。
玄米を食べるようにしてるんだ〜と聞くと健康的なイメージですが、実はリスクもあることを知っておいていただければ。
ちなみにこれは体重に対しての目安なので、子供は特に注意が必要ですね。
オーガニックでも変わらない
ヒ素はもともと土の中に存在するので、オーガニックの玄米であってもリスクは変わりません。
ヒ素のリスクを考えるのであれば、オーガニックの玄米を選ぶことよりも、どのくらいの量を食べるかに気をつけたほうがよさそうです。
日本人への影響は?
世界の状況はともかく、お米をたくさん食べる文化である日本人の場合はどうなのでしょうか。
ヒ素の習慣的な摂取量とがんの発症率を調べた研究が日本にもあるようで、東京大学大学院教授の佐々木敏先生の著書に詳しい内容が記載されています。
無機ヒ素の摂取量が増えるにつれて肺がんの発症率が少し増えるように見えますが、統計学的には増えるとはいえないそうです。
ところが、喫煙習慣の有無で分けてみると、喫煙者群でだけ、無機ヒ素摂取量が多いほど肺がん発症率が上昇していました。
佐々木敏のデータ栄養学のすすめ 151ページより
詳しいデータも紹介されていますので、気になった方はぜひこちらの本で内容をご確認ください。
まとめ:玄米のリスクを知っておこう
この記事では玄米に含まれるヒ素の危険性について解説しました。
・玄米にはヒ素という発がんリスクのある物質が含まれる
・1日おにぎり2個程度でリスクがあるかもしれない
・タバコを吸う人は要注意
玄米は健康食として広まっていますが、実はヒ素や農薬などのリスクを抱えています。
いまのところ玄米による体への悪影響ははっきりと示されていませんが、食べものが体に与える影響は人それぞれ。
知識をつけながら、自分の体調・好みとも相談して判断できるといいですね。
ちなみに僕は玄米が大好き
ですが、ヒ素のことを知ってから毎日は食べないようにしました。オートミールや全粒粉のパンも好きなので、それぞれ偏りすぎないように食べています。
この記事が何かの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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参考文献
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Navas-Acien A, Nachman KE. Public health responses to arsenic in rice and other foods. JAMA Intern Med. 2013 Aug 12;173(15):1395-6. doi: 10.1001/jamainternmed.2013.6405. PMID: 23700006; PMCID: PMC4648264.
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