こんにちは、パーソナルトレーナーのまーしーです。
2019年からプラントベースの食事を続けています。
プラントベース/ヴィーガンの栄養について調べていると、こんなことで困りませんか?
肉・魚しか書いてないな…
何を隠そう、僕がいちばん困ってきました。
そのたびに栄養情報のサイトや論文、本から探していたのですが…時間と手間がいつもかかってしまいます。
そこでこの記事では、教科書レベルの知識+最近の研究や論文の情報を組み合わせてまとめてみました。これで調べる手間がかなり省けるはずです!
鉄分が豊富な食材だけでなく、体でのはたらきや吸収のしくみについても紹介しています。ぜひ参考にどうぞ!
鉄分が大切な理由
まずは鉄分のはたらきについて知っておきましょう。
・赤血球の材料になる(ヘモグロビン)
・酸素を運ぶ・貯める(ヘモグロビン・ミオグロビン)
・出血に備えて体内に貯蔵されている(貯蔵鉄)
いちばん大事な機能はヘモグロビンです。体内の鉄のうち、2/3がヘモグロビンとして使われています。体の鉄分が少ないときでさえ、貯蔵よりもヘモグロビンの合成が最優先にされるほど。
酸素が運べなかったら死んじゃいますからね。僕たちの体はキッチリやってくれています。
足りないと代謝が悪くなる
・顔色が悪くなる
・免疫機能・体温調節機能の低下
・めまい・立ちくらみ・すぐ疲れる・体のだるさが取れない
いわゆる貧血の症状です。
代謝が崩れるので痩せづらくもなります。綺麗な体づくりのためにも、貧血は避けたいところ。
日本人の10人に1人は貧血
鉄分の摂取基準は男女によっても違い、月経のある時期はさらに必要な量が増えます。
男性 | 7.5mg |
女性(月経なし) | 6.5mg |
女性(月経あり) | 10.5mg (50~64歳で11mg) |
令和元年の国民調査では、平均的な摂取量は7.6mg。男女ともに摂取基準を満たしてますが、さすがに月経のある女性では足りず…
日本人の貧血の割合は男性で10%、女性13%くらい。だいたい10人に1人が貧血ということになりますね。
日本人は豆類からの摂取量がいちばん多いようです。次いで野菜、穀物、香辛料、肉の順。
これを見ても、鉄分=肉のイメージは事実と異なっていますね。たまにしか食べないようなレバーをありがたがっている場合ではありません。
鉄分=豆+野菜+穀物
ヴィーガンだから鉄分が足りなくなるのではなく、豆や野菜を食べる量が少ないことのほうが問題と言えそうです。
女性は意識的に鉄分豊富な食べものを選ぶようにしましょう。それでも月経の時期は足りないかもしれませんし。
令和元年国民健康・栄養調査報告 をもとに作成
取りすぎると肝臓に悪い
もともと鉄分は吸収効率の悪い栄養素です。食べた量のうち、10~15%ほどしか吸収できません。
しかしここは体のシステムのすごいところ。
必要度が高い時には吸収効率が上がり、体内で十分足りている時には吸収率が下がるように調整してくれています。そのため基本的には食べ過ぎて問題が起こることはありません。
そうはいっても体から出す、排泄について調整する力は強くありません。溜めすぎると問題が起こるリスクがあります。
鉄のサプリメントは注意
・肝硬変・肝臓がん
・便秘・胃腸の不快感
・神経・ホルモンバランスの乱れ
鉄分の摂れる食材40選
ここからは鉄分が摂れる食べ物をみていきます。
よく鉄分が多く含まれている食材が紹介されていますが、毎日そればっかり食べるわけにもいかないですよね。どれくらいの量を食べるかによっても変わってきますし。
そこでこの記事では、日々の食事でよく食べそうな穀物、豆類、野菜に分けて10種類ずつ選んでみました。
ついでにちょい足しできる食材も紹介します。
穀物・豆・野菜を組み合わせて、1日の摂取量を満たすように心がけましょう!
穀物(ごはん・パン系)10選
キヌア | 4.3mg |
オートミール | 3.9mg |
干しそば | 2.6mg |
玄米 | 2.1mg |
ライ麦パン | 1.4mg |
マカロニ・スパゲッティ | 1.3mg |
ベーグル | 1.3mg |
全粒粉パン | 1.3mg |
おおむぎ(押し麦) | 1.1mg |
発芽玄米 | 1.0mg |
オートミールは万能
豆類10選
レンズ豆(全粒・乾燥) | 9.0mg |
いり大豆(黄大豆) | 7.6mg |
あずき(全粒・乾燥) | 5.5mg |
納豆 | 3.3mg |
ひきわり納豆 | 2.6mg |
ひよこ豆(乾燥) | 2.6mg |
枝豆(冷凍) | 2.5mg |
テンペ | 2.4mg |
もめん豆腐 | 1.5mg |
絹ごし豆腐・豆乳 | 1.2mg |
納豆は頼りになるね
野菜10選
パセリ | 7.5mg |
だいこん葉 | 3.1mg |
切干し大根 | 3.1mg |
小松菜 | 2.8mg |
サラダ菜 | 2.4mg |
みずな | 2.1mg |
かぶ葉 | 2.1mg |
ほうれん草 | 2.0mg |
グリンピース(冷凍) | 1.6mg |
ブロッコリー | 1.3mg |
切干し大根は意外
ちょい足し鉄分10選
いりごま | 9.9mg |
フラックスシード | 9.0mg |
チアシード | 7.6mg |
アーモンド(無塩・いり) | 3.7mg |
カットわかめ(乾燥) | 6.5mg |
レーズン | 2.3mg |
デーツ | 0.8mg |
乾燥きくらげ | 35.0mg |
乾燥しいたけ | 3.2mg |
黒砂糖 | 4.7mg |
デーツは意外に少ない
ほかにも海藻類(のり・青のり・こんぶなど)、スパイス類(バジル・タイム・カレー粉・黒こしょうなど)に豊富です。
ごはんに海苔を乗せたり、サラダにハーブやスパイスをかけるだけでちょい足しできますね。
お肉やお魚と比べてみると…
干しえび | 15.0mg |
しじみ(生) | 8.3mg |
豚レバー(生) | 13.0mg |
鶏レバー(生) | 9.0mg |
馬肉(生) | 4.3mg |
卵 | 1.5mg |
鉄分といったらレバー。さすがに多く含まれていますが、レバーは苦手な人も多いのがキズ。
鉄分を補うために魚介類を食べるなら、しじみやあさりなどの貝類・干しえびを選ぶといいかもしれません。
鉄分が豊富で美容にいい!と言われたりもする馬肉ですが、言うほど多いわけでもなく…豆や野菜の方が日常的に食べやすいので、よっぽど美容におすすめです。
野菜の鉄分は吸収率が悪い?
僕たちが食べている鉄分には2種類あり、その特徴がこちら。
・ヘム鉄…吸収しやすい。動物性食品に多い。
・非ヘム鉄…吸収されにくい。植物性食品はこっち。
ヘム鉄のほうが5~10倍も吸収されやすいので、この点においてプラントベース/ヴィーガンは不利と言えるかもしれません。
ですが、対処する方法が2つあります。
鉄分を効率よく吸収できるように、コツを知っておきましょう。
ビタミンC・クエン酸で吸収率アップ
ビタミンCには非ヘム鉄の吸収率を強力に促進する、キレート作用というはたらきがあります。
そのパワーはお茶やリン酸カルシウムなどの吸収を邪魔する力よりも強いほど。
このキレート作用はクエン酸にもあります。鉄分が不足しがち人は、鉄分の食材だけでなくビタミンCやクエン酸をいっしょに食べるようにしたいところ。
こう聞くと複雑に感じるかもしれませんが、実はわりとカンタンです。
生野菜を食べればビタミンCは含まれていますし、酢の物を食べれば酢にクエン酸が入っています。
生野菜のサラダに酢の入ったドレッシングをかければ両方取れちゃいますね。
副菜もきちんと食べればOK
食事中のお茶に注意
吸収率を下げてしまう食べ合わせもあります。
・フィチン酸(玄米・小麦ふすまなど)
・タンニン酸(紅茶・緑茶など)
・ホスビチン(卵黄)
・シュウ酸(ほうれん草やココアなど)
貧血気味の方は、食事といっしょに紅茶・緑茶を飲むのは控えたほうがよさそうです。
鉄分といえばほうれん草!なイメージがありますが、ほかの葉っぱよりも含まれる量は低めだし、シュウ酸も多いし、意外とイメージと違う野菜かもしれませんね。
フィチン酸については諸説あり、健康に良い効果もたくさんあります。よっぽど貧血でない限りは気にしすぎないほうがよさそうです。
いろんな食べものを食べよう
・全粒穀物・豆・野菜から鉄分は摂れる
・ビタミンC・クエン酸と合わせて吸収率UP
・食事中の緑茶・紅茶は注意
プラントベース/ヴィーガンでも鉄分が摂れる食べものはこんなにたくさん!
たしかに吸収率は悪いかもしれませんが、野菜やお酢との食べ合わせによって吸収率は高めることができます。
鉄分=肉といった思い込みを捨てて、さまざまな豆・野菜から鉄分を取り入れていきましょう◎
鉄分以外にも、プラントベース/ヴィーガンで不足しがちな栄養素はいくつかあります。下記の記事でまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
栄養バランス、トレーナーに相談してみませんか?
さまざまな知識を自分で調べて、暮らしに取り入れていくのは難しいですよね。
栄養バランスが心配…
お悩みの方は、まーしーが行っているパーソナル栄養アドバイスをご利用ください。
1回だけでも受けられる栄養相談サービスなので、1ヶ月など期間の縛りはなく、毎日写真を送るような手間もかかりません。
プラントベース/ヴィーガンの食事で栄養バランスを整えるコツをお伝えし、あなたが自分の体質や目的に合わせた食生活ができるようサポートします。
参考文献
Lynch SR, Cook JD. Interaction of vitamin C and iron. Ann N Y Acad Sci. 1980;355:32-44. doi: 10.1111/j.1749-6632.1980.tb21325.x. PMID: 6940487.