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ヴィーガンの4割がビタミンB12不足!あなたは大丈夫ですか?

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ヴィーガンを対象にした新しい調査結果が公表されました

ヴィーガン食ではビタミンB12が不足しやすいため、サプリメントは必須と言っていいくらいに重要です。

しかし、本当にサプリメントさえ飲んでいれば大丈夫なんでしょうか?

今回の調査では、「約4割のヴィーガンにビタミンB12不足のリスクがある」という深刻な実態が浮き彫りになりました。

もくじ

はじめに

各栄養素には摂取のめやすとなる下限や上限値が決められていますが、食べ物からの摂取を基本としています。

しかしヴィーガン食を行っていると、ビタミンB12の摂取源はほとんどサプリメントやビタミン強化食品です。特にサプリメントの場合、食べ物に比べて吸収率が低いことがわかっています。

そのため吸収率を考慮せずに摂取量を決めていると、サプリを摂っていてもビタミンB12不足になってしまうかもしれません。

そこでこの研究では、オーストラリアでヴィーガン食をしている女性1530人にアンケートをとり、ビタミンB12の摂取量やサプリメントの利用状況について調査しました。

論文のリンク

この記事で紹介している論文へのリンクはこちらです。ぜひ原文も読んでみてください。

論文リンク

オーストラリアのビーガン研究参加者におけるビタミンB12補給の適切性

Benham, A.J.; Gallegos, D.; Hanna, K.L.; Hannan-Jones, M.T. Vitamin B12 Supplementation Adequacy in Australian Vegan Study Participants. Nutrients 202214, 4781. https://doi.org/10.3390/nu14224781

研究の手順

研究は18〜44歳の女性、1530人から得られたアンケートの回答を対象に行われました。

そのほかの条件は以下の通りです。

過去6ヶ月間ヴィーガン食を行っている

・今後もヴィーガン食を続けるつもりである

・オーストラリア居住者であり、過去2年間のうち21ヶ月以上滞在している

アンケート参加者はFacebookに登録されている複数のヴィーガングループから募集。6万人を超える規模のグループもあったようです。

2018年4月〜6週間にわたってオンライン調査が行われ、生活習慣や健康指標、ビタミン12の摂取などについて150の質問がありました。およそ20分ほどで完了する量とのことです。

参加者の回答

ここからはアンケートの調査結果を要約して紹介します。

サプリの摂取頻度

過去3ヶ月間のサプリメント摂取頻度は以下の通りでした。

摂取していない27%
月に2〜3回10.1%
週に1〜3回26.3%
週に4〜6回12.2%
毎日19.4%

サプリの種類

ビタミンB12単体のサプリを摂取77.1%
マルチビタミンのみ13.3%
ビタミンB12と他の栄養素が入ったサプリを摂取9.7%
サプリを摂取していた人(1131人)の割合

B12単体のサプリの含有量は1〜10000μgの範囲で、84%は100μg以上でした。

マルチビタミンや複合サプリメントの場合、ビタミンB12の含有量は1〜7500mcgの範囲で、46%は100mcg以上でした。

ビタミンB12の形式

経口シアノコバラミン45.6%
経口メチルコバラミン24.1%
わからない・答えられない28.1%
サプリを摂取していた人(1131人)の割合

摂取基準との比較

「はじめに」で解説した通り、サプリメントで摂取したビタミンB12は吸収率が異なります。

そのため、摂取基準との比較も「含有量」の場合と「推定吸収量」の2つが計算されました。

含有量との比較

推奨摂取量を満たしている人73.9%
推奨摂取量に足りていない人26.1%
B12総摂取量

強化食品からの摂取のみに限定した場合、89.3%が摂取推奨量に足りていませんでした。

この結果を見る限り、個人的にはサプリメントの必要性はかなり高いと感じます。

推定吸収量との比較

推奨摂取量を満たしている人61.4%
推奨摂取量に足りていない人38.6%
B12総摂取量

サプリメントからの摂取に限定した場合、51%が推奨摂取量に足りていませんでした。このような差が出るのは、強化食品も食べている人のほうが自然と総摂取量が増えるからでしょう。

日本では強化食品が手に入りづらいため、サプリのみ摂取している人がほとんどだと思います。摂取するタイミングや容量には気を付ける必要がありそうです。

考察

参加者のうち1/4(27%)はビタミンB12サプリメントを摂取しておらず、サプリメントを摂取している人でも1/4(26.1%)は適切に摂取できていなかった可能性があります。

さらに実際の吸収量を考慮して計算すると、サプリメントを摂取している人のうち39%は推奨摂取量を下回っており、不十分である可能性があります。

アメリカのようにビタミンB12強化食品が簡単に手に入る国以外では、サプリメントの適切な摂取が特に重要です。

サプリメントの摂取頻度や形式についてばらつきが大きい理由として、以下の理由が考えられます。

・医療従事者と一般の人々の両方が利用できるような、ヴィーガン向けのビタミンB12ガイドラインが公開されていないこと

・既存ガイドライン間でも差があること

たとえば、イタリア人間栄養学会ではビタミンB12補給量のガイドラインは存在していますが、以下の3点について明記されていません。これらはどれも吸収率に影響します。

・推奨されるビタミンの形態

・単独のサプリメントが推奨されるかどうか

・摂取のタイミング

マルチビタミンに含まれている他の栄養素の影響で、ビタミンB12の20〜90%が不活性になる可能性があることもわかっています。

ビタミンB12の摂取源として、マルチビタミンに依存しないように推奨するべきかもしれません。

現状ベストとされている方法は以下の通りです。

STEP
シアノコバラミン型の単一サプリメントを選び、
STEP
低容量の場合は食事と一緒に摂取する
STEP
高容量の場合は空腹時に摂取する

研究の限界

このアンケート調査は食品とサプリメントの違いを考慮したことが最大の強みです。

しかし、サプリメントの内容や摂取のタイミング(食事といっしょに摂るかどうか)などの限界もありました。

ヴィーガンの食生活を送る人に向けたガイドラインを作るために、この分野でさらなる研究が必要でしょう。

研究の要約はここまで。
この先は個人の意見です

まーしーの感想

「最大で4割近くもの人にビタミンB12欠乏のリスクがある」という事実に大きなショックを受けました。ヴィーガン/菜食のメリットを広めていくためには、現状を変えていかなければなりません。

ヴィーガンの理解が進んでいる海外ですらこのような状況です。ましてや、日本でヴィーガン食を実行している人の多くは動物愛護などを理由にしており、栄養や健康についてはあまり語られません。

僕は以前から「ヴィーガンを広めたければ健康でいるべき」と考えています。これは悪評や誤解を防ぐためです。

ヴィーガンを広めるためには、悪いイメージを広げないことが大切です。

知らない人からしてみれば、食事や日用品に禁止ルールをつくるなんて理解しにくいこと。

お肉やお魚をやめて体調が悪くなれば、心配されるのはあたりまえです。

ヴィーガンを広めるには、健康でいるべき話【誤解を防ぐ】

ビタミンB12の欠乏症は非常に恐ろしいものばかり。しかも症状が表面化しづらい病気もあり、気づいたときにはもう遅い可能性すらあります。

ビタミンB12の基礎知識については過去の記事で解説していますので、必ず学んでおきましょう。

大事そうな部分

研究の内容以外で、個人的に気になったところをピックアップしました。

食べ物からの吸収率は40〜50%

食べ物に含まれているビタミンB12のほうが吸収率は高いとはいえ、それでも40~50%と推定されています(オーストラリア・アメリカ・日本は50%。ヨーロッパは40%)。

過去の記事にも書きましたが、50歳以上の場合はお肉やお魚を食べていてもサプリメントが推奨されるケースもあります。

特に日本人は胃酸が薄いので、警戒が必要でしょう。

B12サプリはヴィーガン専用というわけではない

お肉やお魚を食べていても、50歳以上の人にはビタミンB12のサプリメントが推奨されることがあります。

歳を重ねるにつれて、効率よく吸収できるだけの胃酸が分泌されなくなり、不足してしまうことがあるからです。

菜食/ヴィーガンなら必須!ビタミンB12サプリの選びかた

B12強化食品の吸収率はサプリよりも高い

ビタミン B12 強化食品からの吸収率は、ビタミン B12 を天然に含む食品からの吸収率と同等かそれよりも高いです

オーストラリアのビーガン研究参加者におけるビタミンB12補給の適切性

サクッと書かれていましたが、僕ははじめて知った内容でした。錠剤のサプリを飲むよりも、飲み物や食べ物のかたちで摂取するほうが吸収率は高いようです。

少し前に完全栄養食が流行りましたが、あれはあれで理にかなっているのかもしれません。

とはいえここで触れられているのはビタミンB12のみ。ビタミンAなど一部のビタミン・ミネラルは、サプリや強化食品からの摂取は体に害となることもわかっています。

なんでもかんでもサプリや栄養食で摂れるわけではないので、ご注意を。

多く摂取した場合の副作用

ビタミンB12の摂取量には上限が設定されておらず、1日あたり2000μgの摂取量が4か月間使用され、副作用は報告されていない

オーストラリアのビーガン研究参加者におけるビタミンB12補給の適切性

この条件なら悪影響はないようですので、自己責任の上で推奨量より多く摂るのも選択肢でしょう。

ただ、あまりに多い量だとニキビができやすくなる人もたまにいます。

これは僕も経験がありまして、当時は毎日B12のタブレット(容量は忘れましたが)に加え、ニュートリショナルイースト大さじ2~3くらいを摂っていました。

不足だけは避けつつ、個人の体質や食生活に合わせて摂取量を考えるとよさそうです。

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