菜食ってPFCバランスも変えた方がいいの?
特に変えなくて大丈夫だよ
PFCバランスはそのままでOK
菜食だからといって、PFCバランスまで変える必要はありません。
理想的なPFCバランスはすでにある程度決まっていて、厚生労働省から発表されています。これを参考に、偏らないように好きなものを食べればOK。
その一方で、オメガ3脂肪酸や一部のビタミン・ミネラルなど、特に注意しておきたいものもあります。
PFCバランスとは
3大栄養素であるたんぱく質・脂質・炭水化物の頭文字をとって、PFCバランスと呼びます。
・たんぱく質(Protein)
・脂質(Fat)
・炭水化物(Carbohydrate)
ヒトは食べものから栄養をもらって生きているわけですが、その中でも特に大切なのが3大栄養素です。どれも体内での役割が違うので、偏ってしまうと悪影響があります。
なので、「PFCバランスの整った食事をしよう」みたいに言われたりするわけですね。
理想はすでに決まっている
理想的なPFCバランスについてはある程度わかってきていて、日本では厚生労働省が以下のように定めています。
・炭水化物 50~65%
・たんぱく質 13~20%
・脂質 20~30%
見ての通り、範囲はけっこう広め。健康な人であれば、それほど厳密に管理するものではありません。
1食ごとというよりは、1日に食べる栄養素を合計してこのような割合になっていればOK。よっぽど偏っていない限りは、数日かけてバランスをとってもいいでしょう。
菜食でも特別扱いしなくてOK
3大栄養素の必要な量は菜食だからといって変わりません。動物性食品からしか得られない栄養素というわけでもないので、菜食でもきちんと栄養を摂ることができます。
いや、たんぱく質は肉を食わないとダメだろ
納豆や豆腐でもたんぱく質はとれるよ
教科書レベルでよく紹介されているたんぱく質といえば、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品の5種類。つまり、大豆は動物性たんぱく質に並ぶだけの価値があるということです。
プロのボディビルダー(ヴィーガン)も豆腐をよく食べています。肉を食べないと筋肉がつかない、なんて偏見にすぎません。
むしろ、動物性食品からは炭水化物をほとんど摂取できません。炭水化物はごはんやパンに多く含まれていますが、これらはお米や小麦といった植物からできていますよね。
PFCの3つ目、脂質=油はどうでしょうか。健康的な油といえば、オリーブオイルやナッツなどがよく紹介されていますよね。
つまり、菜食をしている人もそうでない人も植物性食品からの栄養をもらって生きているんです。
そのため、菜食に切り替えるからといってPFCバランスに特別な変更は必要ありません。どんな食材からPFCを摂るか、が変わるだけです。
たんぱく質が豊富な食品は大豆以外にもたくさんあります。詳しくは以下の記事をどうぞ。
オメガ3とビタミン・ミネラルは要チェック
たんぱく質を気にするより、むしろ菜食ではオメガ3脂肪酸と一部のビタミン・ミネラル不足を心配したほうが良いでしょう。
ほとんどの日本人は、これらの摂取源が動物性食品に偏っているからです。
魚のかわりにくるみを
オメガ3というより、DHA・EPAと言ったほうがわかりやすいでしょうか。これらは魚に多く含まれているので、「魚の脂は体にいい」と言われたりします。
しかしDHA・EPAは体内でも合成することができるんです!そのときに材料となるのが「ALA(a-リノレン酸)」という脂肪酸で、植物性食品に多く含まれています。
特にALAが多く含まれているのは、えごま・フラックスシード・チアシードの3種類。とはいえ、これらは日本人にとってあまりなじみがない食材です。
そのため僕の食事指導では、まずはくるみを食べることをおすすめしています。
ほとんどの人はくるみの食べ方で困ることはないでしょう。そのまま食べるのはもちろん料理にも使えて、生活に取り入れやすいのがメリット。
くるみに含まれているALAはけっして多いとは言えないのですが、これまでオメガ3を意識してこなかったなら、食生活に取り入れるようにしてください。
くるみを食べる習慣が身についてきたら、よりオメガ3が豊富なえごま・フラックスシード・チアシードも試してみると良いでしょう。食材のバリエーションが広がると、菜食ライフはもっと楽しくなりますよ。
オメガ3脂肪酸についてもっと知りたくなったら、以下の記事もどうぞ。
カルシウム・ビタミンDはみんな足りてない
令和元年の国民調査で判明した、現代の日本人に足りていない栄養素は以下の3つです。
・カルシウム
・ビタミンD
・亜鉛
このうち、カルシウムとビタミンDは動物性食品からの摂取が多いことも判明しました。
そのため菜食では、どんな食べ物からカルシウムやビタミンDを摂れるのかを知っておかないと、栄養不足になるリスクがさらに上がってしまいます。
カルシウム豊富な食材、3つくらい答えられますか?
ぱっと思い浮かばなかったらピンチですよ!
こちらも以下の記事で詳しく解説していますので、答えられなかった人は必ずチェックしておきましょう。
ビタミンB12はサプリで
菜食をするなら、ビタミンB12のサプリメントは必須です。植物性食品から吸収できる量には限りがあり、とても足りません。
最近の研究では、サプリメントをうまく摂取できていない人が多いこともわかっています。
もしも体調が悪くなったとき、菜食のせいにされたらイヤですよね?
いまは何も問題がなくても、いざというときにはもう遅いかもしれません。知識はつけておきましょう。
まとめ
以上、菜食のPFCバランスについて解説しました。
・PFCバランスには理想がある
・菜食でもその理想は変わらない
・オメガ3脂肪酸、カルシウム、ビタミンD、B12は要チェック
菜食だからといって、理想的な栄養バランスまでもが変わるわけではありません。
動物性食品には生活習慣病のリスクを上げるというデメリットがありますが、植物性食品にも一部の栄養素が摂りづらいというデメリットが存在します。
マイナス面からも目を背けず、必要なことはきちんと学んでおきましょう。栄養が摂りづらいことくらい、工夫すれば解決できる場合がほとんどですからね。
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ヴィーガン/プラントベースで不足しやすい栄養素についてブログにまとめました。
— まーしー | 菜食のトレーナー (@marcyplantbased) June 26, 2023
特にカルシウム・ビタミンDは気をつけて!
平均的な日本人なら不足している可能性がかなり高いです。#ヴィーガン #プラントベース #wfpbhttps://t.co/Bdj2W2zZSJ
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参考文献
Craig WJ, Mangels AR; American Dietetic Association. Position of the American Dietetic Association: vegetarian diets. J Am Diet Assoc. 2009 Jul;109(7):1266-82. doi: 10.1016/j.jada.2009.05.027. PMID: 19562864.