こんにちは、パーソナルトレーナーのまーしーです。
2019年からプラントベースの食事を続けています。
健康のためにお魚を食べていないと言うと、よく聞かれる質問があります。
魚って体にいいんじゃないの?
たしかにお魚に関しては健康へのメリットがあると言われていますよね。よく話題に出るものをピックアップしてみました。
・魚は体にいい
・魚の脂はいい脂
・魚を食べると頭がよくなる
これらの話が広まったのは、お魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸という栄養素が体にいいからです。
しかしお魚には水銀など有害な金属も含まれており、危険な側面もあります。実際に妊娠中は制限がかかるほどです。
オメガ3脂肪酸は植物性の食べものにも含まれていますので、魚を食べなくても充分に食べられます。
そこでこの記事では、パーソナルトレーナーとして9年間栄養や食事の指導をしてきた僕が以下についてご紹介します。
・オメガ3はどのくらい摂ればいいのか
・オメガ3が多く含まれる植物性の食品
・食べかたのコツ
平均的な日本の食生活をしている場合、お魚を食べずに日々のオメガ3摂取量をクリアしている人はほとんどいません。
この記事を参考に、さらに健康レベルを高めていってください!
体内で作れない=食べるのが必須
オメガ3脂肪酸は体内で作ることができません。足りない場合には皮膚炎などが起こるので、体にとってかならず食べる必要がある脂肪です。
そのため必須脂肪酸といわれています。
体で作れない=必須
代表的な3種のオメガ3
オメガ3脂肪酸にはいくつかの種類がありますが、代表的なものとしてDHA・EPA・ALAの3種類をご紹介します。
DHA・EPAは聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。お魚に多く含まれている成分です。だから魚の脂はいい脂、と言われたりするわけですね。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
お魚の脂肪に多く含まれています。卵にも少し入っており、藻からできたサプリメントなどもあります。
脳の灰白質といわれる部分の主成分です。心臓や目の網膜、精巣や細胞膜にも含まれます。
ちなみに、ヒトの体では下で紹介するEPAからDHAを合成することができます。そのため、必ず魚を食べなければいけないわけではありません。
EPA(エイコサペンタエン酸)
お魚の脂肪に多く含まれています。卵にも少し入っており、藻からできたサプリメントなどもあります。
細胞膜やエイコサノイドという体内物質の材料になるのですが、EPAから作られたエイコサノイドの役割は特徴的。
血が固まるのを和らげたり、コレステロールや血圧を下げたり、炎症を抑えたり…いいことづくめです。
役立ちすぎ
魚の脂はいい脂、と言われるのも納得ですね。
ちなみに、ヒトの体は下で紹介するALAからEPAを合成することができます。そのため、必ず魚を食べなければいけないわけではありません。
ALA(a-リノレン酸)
大豆、くるみ、フラックスシード(アマニ油)、チアシード、ヘンプシードに多く含まれています。そのほかの植物性の食品に微量、お肉にも少し入っています。
ALAだけはヒトの体では合成できないため、必ず食事で食べなければいけない脂肪酸です。
くるみやシードなど植物性の食べものに多いため、プラントベース/ヴィーガンの食事でも問題ありません。
実は魚を食べることよりも、ALAを食べる意識のほうが重要かもしれません。体内でDHA・EPAは合成できますが、ALAだけは作れないからです。
体に良いか、正直まだわかってない
魚の脂はいい脂と聞いたことがある方や、DHA・EPAの重要性を知っている方が多いのに対し、ほんとうに体に良い効果があるのか、実はまだはっきりとわかっていません。
魚を食べると頭にいい・心臓にいい、とされてきましたが、最近ではあまり関係ないかも?という研究結果が増えてきているからです。
そのため、厚生労働省が出している日本人の食事摂取基準(2020年版)の中でも、病気の発症予防への効果はエビデンス(科学的根拠)が十分ではないと書かれています。
けっこうバッサリ
とはいえALAは体内でつくれないことは変わりありません。食べなくていいわけではないので注意しましょう。
大事なのは飽和脂肪酸を減らすこと
オメガ3脂肪酸が体に良いかはわかっていないのに対して、飽和脂肪酸が多いと体に悪いことはわかっています。
飽和脂肪酸は牛や豚などのお肉、牛乳、パーム油(植物油脂)などに多く含まれているので、これらを減らしたほうが体にいいということです。
脂肪というと悪いイメージになりがちですが、実際は細胞やホルモンの材料になる大切な栄養素。
体をつくる材料だからこそ、できるだけいいものを選びたいですよね。
役立ちそうな特徴はある
この通り、死亡率や病気を減らすほどのメリットがあるかはまだわかっていません。
しかしオメガ3脂肪酸が持つ特徴は、健康の維持・増進にはいい効果が期待できそうなものばかり。
ここでは僕が役立ちそうだと思っているものをいくつかご紹介します。
個人の意見として読んでね
細胞の質が良くなるかも
細胞を包む膜は脂質からできていますが、これは食べた脂肪の内容によって性質が変わることが知られています。
動物性の脂(特にお肉の脂)は冷えると白く固まりますよね?それに比べ、オメガ3脂肪酸の特徴は柔らかくて流動性が高いこと。
そのため細胞膜にオメガ3脂肪酸が多いと、内外での水分や神経伝達物質などの移動がスムーズです。
ホルモンや神経伝達物質への反応や効果が良くなることが期待できます。
アレルギーを抑えるかも
炎症などが起きると、体内ではエイコサノイドという物質がつくられます。
エイコサノイドには血管をきつく締めたり、血液を固めたりする効果がありますが、EPAから作られたものは効果がやや弱め。さらに特別に、炎症を抑える効果も持っています。
そのため、アトピー性皮膚炎やアレルギーのような体の過剰反応によって起こる症状を軽くしてくれる可能性があります。
ただこれにはデメリットも考えられ、出血が止まりにくくなるかもしれません。
日本の推奨量
オメガ3は体内で作れないので、食事で食べる必要があります。
年齢や性別によって基準の数値が異なるので、チェックしてみましょう。
男性(18~49歳) | 2.1g |
男性(50~74歳) | 2.2g |
男性(75歳以上) | 2.1g |
女性(18~49歳) | 1.6g |
女性(50~64歳) | 1.9g |
女性(65~74歳) | 2.0g |
女性(75歳以上) | 1.8g |
令和元年の国民調査では、男女ともに平均摂取量は目安量を超えています。しかしプラントベース/ヴィーガンの食事では魚を食べないので、平均摂取量は参考になりません。
そこで、オメガ3脂肪酸が多く含まれる種実類の摂取量を見てみます。なんと、ほとんどゼロ!
記入ミスかと思った
さらに植物性食品からに限ったオメガ3の摂取量を見ると、20歳以上の平均で1.3g。まったく足りていません。
これらのデータを見るかぎり、栄養について勉強しないでヴィーガンを始めることはまったくオススメできません。
令和元年国民健康・栄養調査報告 をもとに作成
ヴィーガンは血中濃度が低い
ヴィーガン・ベジタリアンは血液中に含まれるDHA・EPAの数値が低い可能性が高い、といくつもの研究で示されています。
しかし、血液の数値が低いからといって他の細胞や内臓でも低いとは限りませんし、健康への影響についてもはっきりしていません。
反対に、健康な人のオメガ3の必要量はALAを食べていれば足りることがわかっています。
ALAを含む食品をきちんと食べておけば、大きな問題が起こるとは考えにくいのが現状でしょう。
研究の発展が楽しみ
オメガ3が摂れる植物性の食品
それではオメガ3が摂れる食材をみていきましょう。多く含まれている順に、1位から5位までのご紹介です。
食べたことがないどころか、聞いたことのない食べものもあると思います。量の多さは大切ですが、日々食べ続けていくものなので、味の好みやライフスタイルに合うかどうかも気にしてみてください。
どんな味なのか、それぞれ買って食べ比べするのも楽しいですよ。
ちなみに菜種油や大豆油にもオメガ3は含まれていますが、油単体を摂取するよりも食品を食べた方が健康に良いです。なので食品をメインにランキングにしました。
えごま
・100gあたりのオメガ3含有量…23.70g
・10g食べれば1日の摂取量をクリア
・えごま油の場合は5gで1日の摂取量をクリア
オメガ3の量がトップなのはえごま!
日本や中国に特有の食べもので、知名度は高くありません。そのため価格もやや高め。
よく目にするのはえごま油ですが、粒やパウダーの製品もamazonに売っています。
食べたことないなあ
フラックスシード
・100gあたりのオメガ3含有量…23.50g
・10g食べれば1日の摂取量をクリア
・アマニ油の場合は5gで1日の摂取量をクリア
第二位はフラックスシード(亜麻仁)。youtubeなどで見る限り、海外のveganはこれを食べていることが多いですね。
その理由はリグナンという物質の高い抗酸化作用にあります。フラックスシードに含まれるリグナンの量は、なんとゴマやチアシードの約15倍!
高血圧や乳がん・前立腺がんへの予防効果、さらに炎症を抑える効果も報告されています。
欠点があるとしたら、風味やクセがやや強いこと。慣れるまでは気になるかもしれません。
僕も基本はこれ
チアシード
・100gあたりのオメガ3含有量…19.43g
・10~15g食べれば1日の摂取量をクリア
3位はチアシード。けっこう前ですが、スーパーフードが流行り始めたころに日本でも少し話題になりました。
水分を吸うとぷるぷる・ぷちぷちの食感になるので、ジュースやスイーツに浮かべると見た目もきれいです。
えごまやフラックスに比べるとオメガ3の量は見劣りしますが、それでもたった15gで男性の摂取量もクリア。
チアシードの大きなメリットはほとんど無味無臭なこと・カルシウムが豊富なことです。
値段も安めでコスパ◎
くるみ
・100gあたりのオメガ3含有量…8.96g
・25g食べれば1日の摂取量をクリア
第4位はくるみ。ここからは食べる量が少し多くなります。
これまで紹介してきた食べものの中ではいちばん馴染みがあると思いますし、手に入れやすいです。まったくオメガ3のことを気にせず過ごしてきたのであれば、ひとまずくるみから食べ始めると習慣にしやすいと思います。
オメガ3以外の脂肪も多く含まれていてカロリーの高い食品なので、食べ過ぎには注意!
ハマると止まらない
ヘンプシード
・100gあたりのオメガ3含有量…4.74g
・50g食べれば1日の摂取量をクリア
最後はヘンプシード。麻の実、麻の実ナッツなどと呼ばれたりもしています。
オメガ3の量はかなり少ないので、これだけで足りるようにするのは厳しいところ。他の食材との組み合わせが大事といえそうです。
おいしいんだけどね
食べ方にも注意
植物性の食べものでもオメガ3は充分に足りることはわかったと思いますが、ここで大事なのが食べ方!
カルシウムやビタミンB12の記事でも紹介しましたが、食べるだけではなく、うまく吸収されて体内ではたらくかどうかが重要です。
そのために注意したいポイントを2つご紹介します。
フラックスシード・チアシードはすりつぶす
フラックスシードとチアシードは外側の皮が硬く、消化されにくいです。そのため、ただ食べただけではすべての栄養素を効率よく吸収することができません。
チアシードを丸ごと食べた人では血液中のオメガ3の量が変わらないのに対し、すりつぶして食べた人はオメガ3が増えることが研究で明らかになっています。
そのためミルサーやミキサーなどで挽いたり、すりつぶしたりして食べるようにしましょう。
ちなみに、えごまについてもたぶん同じようにして食べた方がいいと思います。あまり多く生産されていない食品だからか、比較したデータなどは見つかりませんでしたが…
できるだけ冷蔵保存・早く使う
オメガ3脂肪酸には酸化しやすいという欠点があります。酸化した油は体にいいどころか、むしろ害となるリスクすらあります!
酸化=質が悪くなる
酸化を防ぐために大切なポイントは3つ。
・光に当てない
・空気に触れさせない
・加熱をできるだけ避ける
特にえごま油やアマニ油など、オイルのみに加工された製品は劣化も早いので要注意。低音圧搾など、加工にもこだわっている製品を選ぶとより安心です。
フラックスシード・チアシードは粒のままなら問題ありませんが、挽いて粉にして保存する場合、冷蔵庫や冷凍庫で保存すると鮮度が落ちにくいようです。
くるみについては問題視する意見をそれほど見かけませんが、炒りくるみなど加熱したものは早めに食べ切った方がいいのかなーと個人的には思っています。
悩んだらまずはくるみを食べよう
・オメガ3は魚を食べなくても大丈夫
・ただし意識して食べないと不足するかも
・健康効果ならフラックスシード、手軽に食べるならくるみ
オメガ3脂肪酸のうち、ALAは体内で合成することができません。かならず食べものから摂る必要があります。平均的な日本の食生活のままお魚をやめると、不足する危険性がグッと高まるので注意しましょう。
ALAが多く含まれているのは植物性食品。種類は少ないですがたくさん食べる必要はないので、毎日の生活で意識するのはさほど難しくありません。
健康への効果はフラックスシードは抜群ですが、クセのある風味・すりつぶす手間など多少のデメリットも。
手軽に対策するなら、くるみやオイル製品を便利に活用しましょう。
オメガ3脂肪酸以外にも、プラントベース/ヴィーガンの食事で注意したい栄養素がいくつかあります。下記の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください!
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さまざまな知識を自分で調べて、暮らしに取り入れていくのは難しいですよね。
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プラントベース/ヴィーガンの食事で栄養バランスを整えるコツをお伝えし、あなたが自分の体質や目的に合わせた食生活ができるようサポートします。
参考文献
Craig WJ, Mangels AR; American Dietetic Association. Position of the American Dietetic Association: vegetarian diets. J Am Diet Assoc. 2009 Jul;109(7):1266-82. doi: 10.1016/j.jada.2009.05.027. PMID: 19562864.
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