筋トレしてても、菜食でたんぱく質は足りるのか?
大丈夫!大豆のたんぱく質って鶏むねより多いからね
海外のヴィーガンは豆腐を愛用
海外のヴィーガンの間では豆腐が大人気。プロのボディビルダー(ヴィーガン)も食べるほど、大豆は優秀なたんぱく質です。
トレーニングをしていない人にも豆腐レシピの需要はかなり高いらしく、こちらの動画は2ヶ月で30万再生!
日本での豆腐の扱いは節約の味方・ダイエットの味方・もう一品ほしいとき、など脇役に落ち着いていますが、菜食をするなら話は別。
豆腐をはじめとする大豆製品は、プラントベースの初心者から上級者までお世話になることが多いはず。日本が誇るスーパーフード、納豆も大豆ですしね!
そんな大豆の栄養メリットについて、現役パーソナルトレーナーの僕が解説していきます。
海外の動画に出てくる超硬い木綿豆腐、日本でも売ってほしいな〜
豆はどれもオススメ
大豆に限らず、豆類はもっと食べたほうがいいオススメの食材です。それは日本人が不足しやすい食物繊維や、プラントベースで不足しやすいたんぱく質やミネラルが豊富に含まれているから。
特にたんぱく質と食物繊維をいっしょに摂れるところが優秀。たんぱく質だけに偏った食事は、腸内環境の悪化につながります。
ちなみに、日本人が不足しやすい栄養素には以下のようなものがあります。
・カルシウム
・亜鉛
・食物繊維
プラントベースで不足しやすい栄養素もピックアップしてみました。カルシウムはかぶっているので要注意ですね。
・カルシウム
・たんぱく質
・鉄分
意識したい栄養素については、以下の記事でも詳しくまとめています。
大豆に特徴的な栄養素
豆類の中でも大豆に特徴的な栄養素は以下の通り。
・たんぱく質
・カリウム
・食物繊維
・カルシウム
・オメガ3脂肪酸
かなり盛りだくさんですね。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
たんぱく質はぶっちぎり
たんぱく質といえば肉・魚・卵・大豆…とよくいわれるように、大豆のたんぱく質量は圧倒的です。
同じ重さなら、むね肉よりも大豆の方がたんぱく質は多いって知ってた?
しかし、大豆は脂質も多いのが特徴。カロリーが高くなりやすいので、食べすぎには注意が必要です。逆に菜食だとカロリーが足りなくなりがちな人にとっては、頼りになりますね。
食品 | たんぱく質(100g中) |
---|---|
大豆(国産・乾燥) | 33.8g |
レンズ豆(乾燥) | 23.2g |
ひよこ豆(乾燥) | 20.0g |
鶏胸肉(生・皮なし) | 24.4g |
紅鮭(生) | 22.5g |
トレーニーなら組み合わせで
筋トレをたくさんしている人・または筋肉を増やしたい人にとっては、カロリーが高いことは敵にも味方にもなります。
体重が増えにくい人は、豆腐や豆乳のような食べやすいものでカロリーを稼ぐといいでしょう。
脂肪がつきやすい人は、脂質の少ないレンズ豆やひよこ豆もうまく組み合わせることで、脂質を控えながらたんぱく質の量を増やせます。
ほかの豆については以下の記事で詳しく解説していますので、よかったらあわせてお読みください。
カリウムもたっぷり
朝はフルーツでカリウム補給〜♪
納豆でもいいかもよ
カリウムといえば野菜と果物!なイメージが強いですが、実はほかの食べ物にも多く含まれているんです。
豆類をいくつかピックアップしてみました。あずきってカリウム豊富なイメージでしたが、納豆よりも低かったんですね。ちょっと驚きです。
そして意外と低いのがバナナ。果物は果物で大事な食べ物なんですけど、カリウムはそれほど多くないんだな〜ということは知っておきましょう。
食品 | カリウム(100g中) |
---|---|
きな粉 | 2000mg |
納豆 | 690mg |
ゆであずき | 430mg |
ほうれん草(生・通年平均) | 690mg |
バナナ | 360mg |
むくみ解消にはたんぱく質も大事
ちなみに、むくみ解消のためにはたんぱく質も大切です。
その理由は、血液の水分量を調節してくれている「アルブミン」という物質がたんぱく質からできているため。
カリウムは塩分の排出には役立つかもしれませんが、
・カロリーは不足しすぎていないか(水分の代謝にはエネルギーが必要です)
・たんぱく質は足りているか
・運動不足ではないか(筋肉には血流を良くするはたらきがあります)
以上のような土台の部分があってこそ、カリウムも本領を発揮してくれます。大豆ならカリウムと同時にたんぱく質が取れるので、そういった面でもおすすめです。
あとは運動も忘れずに!はじめからキツい筋トレをやる必要はありませんので、まずは毎日30分くらい動いてみましょう。
運動なんてしたことないから、なんにもわからない!
という方は、以下の記事もあわせてどうぞ。
オートミール並みの食物繊維
豆といったら食物繊維!納豆の食物繊維はオートミールと並ぶほどです。
食物繊維を多く食べている人は、生活習慣病のリスク要因をかなり改善できます(体重・コレステロール・中性脂肪・血圧・血糖値など)。
ただし、豆腐や豆乳のような加工食品ではこの恩恵は受けられません。以下の表をご覧ください。
食品 | 食物繊維(100g中) |
---|---|
納豆 | 9.5g |
もめん豆腐 | 1.1g |
きな粉 | 15.3g |
枝豆(ゆで) | 4.6g |
オートミール | 9.4g |
豆腐にするとどれくらい食物繊維が失われてしまうのか、一目瞭然ですよね。
じゃあ豆腐が悪い食べ物か、というとそうではありません。豆腐だけに偏らず、いろいろな食品を食べていれば過剰に気にする必要はないと思います。
さらにレベルアップをめざすなら
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があるのですが、現時点ではまだ理想的なバランスがわかっていません。しかし、あまり偏らないほうがよさそうです。
大豆は不溶性食物繊維が多いので、もち麦・りんご・わかめ・のりなど、水溶性食物繊維が多い食材を組み合わせられると理想的です。
もち麦ごはんに納豆+わかめの味噌汁、でカンペキ
意外と多いカルシウム
大豆って実はカルシウムがとれるんですよね。あまり知られていないですが。そして牛乳やヨーグルトのカルシウムは飛び抜けて多いわけでもないですね。
日ごろ食べる機会の多い納豆や豆腐を紹介していますが、凍り豆腐や油揚げのように凝縮された食べ物だとさらにカルシウムは多くなります。乳製品のチーズなども同様です。
食品 | カルシウム(100g中) |
---|---|
納豆 | 91mg |
もめん豆腐 | 93mg |
水菜(葉・生) | 210mg |
無脂肪ヨーグルト | 140mg |
生乳(ジャージー種) | 140mg |
さば水煮缶 | 260mg |
菜食するならカルシウムは要注意
日本人はもともとカルシウムの摂取量が足りていないのですが、菜食を始めたばかりのころはさらに不足しやすくなります。カルシウムはどんな食べ物に多いのか、特に意識して覚えておきましょう。
大豆だけでなく、意外と優秀なのが水菜や小松菜といった葉物の緑黄色野菜。ほかにはごま・わかめもちょい足しできて便利です。
以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
オメガ3は入っているけど…
特別多いというわけではないのですが、大豆はオメガ3脂肪酸のa-リノレン酸(ALA)を含んでいます。しかし、1日に必要な量を摂るためにはとてつもない量の大豆を食べなければいけません。
大豆を頼りにせず、フラックスシードやチアシード、くるみを食べるのが確実です。
食品 | a-リノレン酸(100g中) |
---|---|
きな粉 | 2000mg |
納豆 | 670mg(推定値) |
フラックスシード(あまに・炒り) | 24000mg |
チアシード(乾燥) | 19000mg |
くるみ(いり) | 9000mg |
栄養を意識せずに菜食をすると、まず足りなくなるのがオメガ3脂肪酸。カルシウムと同様、かならず意識しておきましょう。
大豆のすごさは栄養だけじゃない
栄養の話も楽しいですが、食べ物ってそれだけじゃないですよね。
それ以外の特徴もご紹介します。
・すでに食べ慣れている
・安くてどこでも手に入る
・食べ方・種類がたくさんあり、飽きづらい
すでに食べ慣れている
菜食を始めたてのころは、何をどんなふうに食べればいいのかわからないもの。
特に困るのがたんぱく質。菜食では豆がメインになりますが、レンズ豆やひよこ豆・レッドキドニー(いんげん豆)などは食べ慣れていない人がほとんどだと思います。
そこで頼りになるのが大豆製品です!
慣れ親しんできた納豆や豆腐・枝豆などを食べて暮らしつつ、新しい料理を覚えたり、いままで買ったことのない豆を買ってみたりして、生活の幅を広げていきましょう。
だんだん自分に合った菜食のスタイルが見つかってくるはずです。
地味だけどこれはめっちゃでかいメリット
安くてどこでも手に入る
ひとつめの特徴と重なりますが、大豆製品はどんなスーパーでも手軽に買うことができます。そのほかの豆の缶詰も見かけることは増えてきましたが、乾燥豆ともなるとまず売っているお店を探さなければなりません。
この問題が解決するだけで、もうちょっと菜食をやりやすくなると思うんですが…当面はネット通販をうまく活用しましょう。
豆の缶詰は意外と酒屋さんとかに置いてあるよ
食べ方がたくさんある
納豆を筆頭に、枝豆・ゆで大豆・いり大豆・煮豆など、大豆そのままの形で食べるだけでもこれだけ種類があります。
加工品も含めれば豆腐・油揚げ・きな粉・豆乳・湯葉・凍り豆腐…たぶんほかにもあるでしょうね。
食欲のないときでもたんぱく質が取りやすい豆腐や豆乳、ちょい足ししやすいきな粉や油揚げ、と脇役にも実力者ぞろいです。
これだけさまざまな形で食べられる食材って珍しいですよね。味付けも変えられるので、飽きにくさで言えばトップクラスだと思います。
枝豆も冷凍ならいつでも買えるしね
おすすめの大豆製品
食材紹介の記事では入門用の商品を紹介していますが、納豆や豆腐についてはすでにみなさんよくご存知だと思います。
そのため、ちょっと意外そうな大豆製品をチョイスしました。
常温保存できる豆腐
災害対策の備蓄にもなる、常温保存可能なお豆腐。国産大豆100%で保存料も入っていません。
冷蔵庫でかさばる・賞味期限が短いという豆腐の弱点も見事にカバーしており、ローリングストックとしても食べやすいですね。
食感が楽しい蒸し大豆
大豆はよく水煮が売られていますが、潰れやすかったり食感がやわらかすぎるのが難点。蒸し大豆は明らかにホクホクしていて、それだけでもおいしさが違います。
このシリーズにはいんげん豆やえんどう豆が混ざったミックス豆という商品もあり、そちらもすごくおいしいです。
サラダにも合う炒り大豆
節分の時期以外ではあまり見かけませんが、大容量でも買うことができます。
そのままおやつにできますし、クルトンみたいにスープに乗せたり、砕いてサラダにトッピングしたりと実は意外と使い道豊富。
香ばしい食感と香りがクセになります。豆類って食感が同じになりがちで、こういうカリカリ・サクサク系って珍しいですからね。
まとめ
以上、大豆の栄養とおすすめ商品を解説しました。
・たんぱく質、カリウム、食物繊維がたっぷり
・安くてどこでも手に入る
・菜食をはじめたての頃からずっと役立つ
菜食に興味があっても、何を食べたらいいかわからず、なかなか踏み出せない人も多いと思います。
そんなとき、大豆製品は強い味方です。食べ慣れている納豆や豆腐料理の頻度を増やせばいいだけです。まずは試しにお肉や魚を減らして、かわりに大豆製品をおかずにしてみましょう。
新しい食材やレシピを覚えるのはそれからでも遅くありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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プラントベース/ヴィーガンの食事で栄養バランスを整えるコツをお伝えし、あなたが自分の体質や目的に合わせた食生活ができるようサポートします。
参考文献
Craig WJ, Mangels AR; American Dietetic Association. Position of the American Dietetic Association: vegetarian diets. J Am Diet Assoc. 2009 Jul;109(7):1266-82. doi: 10.1016/j.jada.2009.05.027. PMID: 19562864.